- 1 名前: ◆q5Z7UCHM 投稿日:2007/06/12(火) 23:28
- スペースコロニー、それは人類が建造した人工の大地・・・。
増えすぎた人々が宇宙に上がり安息の地としたもの。 だが世代を重ねコロニーという植民地を意味する言葉を宇宙で生まれ育った者達が潔しとはしなかった。 ゆえにプラント。 生命の大地を意味する言葉に改称されたのはCEの時代に入ってからのことであった。 円錐を上下につなぎ合わせた全長6kmに及ぶ砂時計。 その内壁の大地に数百万もの人々が生き、学び、働き、恋をし、子らを産み育み、そして年老いて死んでいった。 彼らは何ら地球に住み続ける人々と変わりはしない。 だが宇宙に住み続ける人々は常に地球に住む人々に搾取され続けた。 だから宇宙に住む人々は自らの遺伝子にメスを入れた。 人より高く、人より優れ、そして遥かな宇宙に向かうために。 プラントに生きる者たち、彼らはコーデイネイターと呼ばれた。
- 4 名前: ◆q5Z7UCHM 投稿日:2007/06/14(木) 00:58
- 「こちらへ。」
黒いスーツの大柄な男に促され青いエレカーに青年は乗り込む。 5年前に遷都されたオクトーベル市の中央道は車両も多く、ラッシュ時には渋滞も珍しくない。 「いまさらか・・・」 信号待ちの中、青年は独りごちる。 軍を除隊させられ、ホワイトパージで職を選ぶにもかなりの制限がついた。 敗戦から軍関係者に対する市民の目は冷淡なものだった。 コロニーの外装修理というプラントでは底辺といわれる仕事をようやくありつけたのは三ヶ月前だ。 信号が青に変わり、男は車を発進させるが突如急ブレーキをかける。 「なんだ?」 「野郎!クソ何だってんだよ。」 男は目の前には連合の進駐軍のジープをにらみつけていた。 クラクションを大音量で鳴らした後、乗っていた二人の軍人がジープから降りてきた。 「おい、何飛び出してきてんだよ?」 目元がにやついている。 まるでいいエサを見つけた豚のように青年には映った。 「ふざけるな、信号無視をしたのはそちらだろうが!」 青年は吐き捨てる。 「この宇宙人どもが!」 軍人の顔は一気に興奮し、まるでしつけの悪い犬を見るかのよ警棒を振りいきなり殴りつけてくるが、 そんなものを避けられないほどにぶっちゃいない!
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- 5 名前: 議長◆q5Z7UCHM 投稿日:2007/06/18(月) 23:44
- 戦場より離れて六年、再び二人が出会う。
メイリンには複雑だった。 もう少年ではない、青年の眼差しは敗北の傷跡を見つめ辛酸を舐め続けた男のものだ。 それでも輝きは消えてはいない。 「お久しぶりですね・・・。」 メイリンは弱く微笑んで青年を執務室へと通す。 目は合わせてもらえなかった。
「シン・・・よく来てくれた。」 「議長もお元気そうで・・・。」 青年は、シンは疲れきった声で返事をする。 「レイのことはすまないと思っている。」 アスランも戦いの傷を見つめ続けてきた男だ、メイリンはそれを知っていた。 「だが今は君の力が必要だ。プラントが再び立ち上がるために。」 「もう一度戦うつもりですか、連合と?馬鹿げている。今のザフトには駐留艦隊を叩く戦力すらないはずだ。」 「そうだな・・・。今のザフトに戦力と言える物は無い。そう言われているな。」 アスランはシンの答えを予想したかのように答える。 「・・・ある。ただ一つだけ残された戦力が。」 シンにはアスランの真意がわからない。 ザフト主力艦隊も連合に収奪され、新型MSの開発も製造も禁止され自衛軍と呼べる程度のものしか残っていない。 マスコミではそう報道されている。シンの認識は常識に則っているのだ。
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- 6 名前: ◆q5Z7UCHM 投稿日:2007/06/19(火) 00:13
- 廃棄された資源採掘用小惑星【レオ】
プラント建設初期に鉱物資源獲得のために木星圏から数年かけて移送されたものだ。 プラントからの距離もさほど遠くない ・・・今はもう見捨てられ、ただ静かに真空の海を漂う。 二機のゲイツで【レオ】のメインゲートへと侵入していく・・・。 「わざわざミラージュコロイドパック装備だなんてどういうことなんです?」 シンにはその理由が今だに見えない。 「今はどんなリスクでも避ける・・・。」 そう答えたきりアスランは黙り込んだ。 坑道を進み、メインブロックと思しき扉の前に到着した。 アスランは何も言わずにゲイツのマニュピレーターでロックを解除する。 そして静かに扉が開く。 すでにグフ隊をはじめとしたMS部隊は到着している。 そして多くの整備員が整備に取り掛かっている。 「これほど多くの機体をよくここまで。」 シンにもアスランの苦労が一目で理解できた。 50機はあるだろう。ジン、シグー、ゲイツ、ザク、グフ・・・。 寄せ集め、それでも戦力と呼べる数だ。 中央には巨大なモビルアーマーが配置されそしてすぐそばには二機のMSが直立している。 「ミーティアだと!」 シンは叫んだ、驚きを隠せない。 真紅の異形のザクの隣には・・・。
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- 7 名前: ◆q5Z7UCHM 投稿日:2007/06/19(火) 23:29
- 「アスラン!」
声を上げて金髪の少年が白いドムから駆け下りてアスランに抱きついた。 「やあ、クウ。久しぶりだね。ドムはどうだ?」 「はい、とても動かしやすいです。」 そのあまりに無邪気な笑顔は緑の軍服には似合わない。 「その子は?」 シンが不思議そうな表情を浮かべて尋ねる。 「ああ、シン。この子はクウ。まだ十二歳だが天才的な操縦センスを持っている。俺が議長権限で特別に選出した。」 アスランがまるで当たり前のように答える。 「はじめまして、クウ=ガ=ライズです。」 「ああ、シン=アスカだ。」 どこにでもいるこども。シンにはそうとしか思えなかった。 「シンにはクウとタッグを組んでもらう。大事な子だ、守ってやってくれ。」 「はっ?」 シンはアスランを軽くにらみつける。 「じゃあ、あとは任せる。クウ、シンの指示には従えよ」 「はい、シンさんよろしくお願いします。」 クウは深々と頭を下げた。
- 8 名前: ◆q5Z7UCHM 投稿日:2007/06/27(水) 22:16
- プラント駐留艦隊はオクトーベル市の軍港に繋留されている。
主力艦はミカエルとラファエルの同型の戦艦でありミカエルを旗艦とし、アークエンジェル級の巡洋艦十隻と 駆逐艦三十隻を従えた大艦隊である。 占領下のプラントにとってはまさに支配の象徴ともいえる存在だ。 これらの部隊が到着して5年。 プラントの軍備はあくまでも警察力を強化したもの以外は保有を許されず、かつてのプラント艦隊は連合月面基地アリストテレスにてモスボール状態にされ、また一部は月の南極の永久影にて月地下の氷を溶かすジェネレーターとして用いられている。 プラント駐留艦隊はその圧倒的な戦力において完全に君臨する。 もう二度とプラントを地球への脅威にせぬために。 しかし力による支配は力によって破られる。 それが歴史というものだ。 そのことを連合本部も、そして駐留艦隊司令であるブッゴ=ラーンも理解してはいなかったのである。 「退屈な任務だ、それもあと一年だがの。」 「はあ?」 副指令は日常事務をこなしながら力なく返事をする。 「ですが市民からの苦情抗議活動はやむことはありませんな。」 「兵とてこのような場所で働きたくはあるまい、所詮治外法権だ。兵にもアスレチックは必要だよ。」
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- 9 名前: ◆q5Z7UCHM 投稿日:2007/06/27(水) 22:53
- 「クウ、実戦は初めてなんだよな?」
クウは静かにうなずく。 「でも三年前からシュミレーターで訓練しています。だから動かすだけなら何とか。」 白いパイロットスーツにシンの質問に少し自信なさげに答える。 「そうか、わかった。とにかくフォーメーションだけは崩すな。俺から離れなければ護ってやる。」 「はい。」 ドムとD−3部隊の前列、先陣だ。 ミーティア発進後、一気に駆け抜け旗艦のみを目指す。 これが作戦の主旨だ。
「皆、手を止めて私の話を聞いてほしい。」 突然にスピーカーから声が流れる。アスランだ。 赤いパイロットスーツに身を包んだままMSデッキ中央にいつの間にか用意された壇上に立ち堂々と語り始める。 多くのパイロットが機体から乗り出し、スパナを持ったまま整備員はアスランの方を見つめた。 「この作戦に参加してくれた諸君等に感謝する。 この戦いはプラント独立の第一歩となる! 我々、ザフトの主力艦隊は未だモスボール状態で月面地球軍基地に繋留されたままである。 これを奪還し勢宙圏を得る為の実力、すなわち駐留艦隊の旗艦ミカエルそして新型戦艦ラファエルを獲得するのがこの作戦の趣旨である! 共に戦おう、プラントの悲願である連合からの独立を実現するために!
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- 10 名前: ◆q5Z7UCHM 投稿日:2007/07/17(火) 02:50
- 連合艦隊が停泊しているオクトーベルのドックには主に三つのゲートから入港および出航が可能とされている。
また市内の連絡通路は連合側のコントロールによって開閉される 平時においては常に開放されたままであり警備は手薄といえるだろう、 五年以上もプラント市民の抗議集会は連合に向かって行われることが常ではあるが、暴動に至る事態にまでは一度も至っていない。 それはザラ派の政治体制が連合に阿てきたからだ。 市民の不満が政府に向かうことはあっても連合に直接向かうことを抑えてきた。 政治とはこういうものだ。
ブッゴはパイプをふかしながらミカエルのブリッジから艦内の自室に戻ろうとしていた。 地球艦隊の時刻は北半球のワシントンに合わせられている。 時はすでに夕刻。将官は一般兵とは異なり、食事は自室にて取ることができる。 メニューを頼み、部屋にて憩いの時を過ごしていた。 家族からのメールを読み、カレンダーを眺める。 出世コースを歩むには実戦経験が必要となる、だが形式的なものだ。 だからこそ、艦隊司令というキャリアは今後の昇進の鍵となる。 わかってはいるが地球の重力が恋しい。人は地に足をつけてこそ人間の暮らしなのだ。 これがブッゴの哲学だ。
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- 11 名前: ◆q5Z7UCHM 投稿日:2007/08/02(木) 01:15
- ドックから出てきたばかりの駐留艦隊はまだ陣形を整えてはいない。
MS隊も発進できたのは十個小隊前後だ。 機種特定・・・ダガープロテスタントとウインダムスナイパーカスタム3である。 ミーティアのレーダーからそれがすぐにわかった。 駐留艦隊のMS機数は300から400である。しかしすぐに動けるのは一割弱。 アスランはミーティアをさらに加速させる。 付いてこれているのはD−3とドムの二機のみであった。 だがこれでいい。 「シン、クウ行くぞ。」 ミーティアの多弾頭ミサイルを全砲門から発射させる。 目標は敵MS部隊。まだ敵の射程範囲外からの攻撃。 数十の機体が一機に爆散する。直後ラファエルからの砲撃があった。 すでにアスラン達は避けている。 狙われる前に避けているのだから当たるわけが無い。 「どこを狙っている!」 シンの声には余裕がある。敵の反応が鈍い。 「ここはいい。MSは私が引き付ける。シン、ミカエルへ急げ。」 「了解、クウ付いて来い。」 D−3とドムはミーティアから離れ、機体を旋回させる。 ミーティアはアークエンジェル級にビームを放つ。 一気に艦のブリッジを灼き撃沈する。 ・・・艦は可能な限り温存させたいが・・・アスランは独りごちる。
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- 12 名前: 議長◆q5Z7UCHM 投稿日:2007/09/02(日) 01:10
- ・・・小僧があああ、まだラファエルは?、ラファエルがプラントに主砲を撃ちさえすれば形勢を立て直すことが・・・。
ブッゴの計算は既に前提が崩れている。 「なあ議長まあ待ってくれ、今日の軍事行動はプラントにとって致命的になる。しかし私なら今回の件は一部の者の暴動として治められるわけだ。 このことが軍本部に知れれば、プラントに敵意ありと今度こそ核を使われる。軍による占領なんてレベルじゃない。コーディネイターの大地をすべて焼きつくすということにもなりかねない・・・。」 この男、顔色ひとつ変えてはいない・・・。 『聞こえなかったのか、貴艦隊に対し直ちに降伏を求める。この要求が受け入れられない場合、貴艦ならびに僚艦ラファエルを即時に撃沈する。」 』 「馬鹿を言うな、この戦いに勝利したところで一月ほどで月基地から攻撃を受ける。国家の長たるものがそのようなことを判らずに・・・」 なんなのだ?気でもふれたというのか・・・この宇宙人どもは。 「貴艦は援軍でも期待しているのかな?月からは一月はかかるのだろう?」 モニターにはラファエルがミーティアにブリッジを掌握された姿が写し出された・・・。
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